Cane Project

2013年〜

cane projectは大和が2013年から取り組んでいるプロジェクトである。
2010年に大和は、絵画を探る道具である筆を、世界を探る杖に見立てた作品をつくった。そして2013年に、山道で杖をつく一人の女性との出会いをきっかけに、現実で使われている杖の撮影を始めた。以来、様々な土地で使われている(いた)杖とまわりの風景を写真におさめており、その数は現在で400本を超える。訪れた場所を丹念に歩き、杖を持った人に頼んだり、紹介してもらったりして、個人が所有するものを撮ることが多いが、地域の博物館や資料館などで所蔵されているものを撮ることもある。 また、これらの杖や杖の持ち主との出会いや、古代からある杖の歴史のリサーチを通して、インスタレーションやパフォーマンス作品、ワークショップへの展開もしている。




「病む人は、病いを物語へと転じることによって、運命を経験へと変換する。身体を他の人々から引き離す病気が、物語の中では、互いに共有された傷つきやすさの中で身体を結び付ける苦しみの絆となる」
『傷ついた物語の語り手――身体・病・倫理』アーサー・フランク

2013年、山道で、一人の杖をつく女性との出会いをきっかけに、杖の撮影を始めた。 撮影は大きく二つに分けられる。ひとつは、町を歩き直接頼んだり、紹介してもらったりして、個人が所有する杖を撮影するというもの、もうひとつは、博物館などで所蔵されているものを撮るというものだ。様々な経緯をもつ杖とまわりの風景を写真に収めてきたが、カメラの前で杖が立つという奇妙な一瞬、その場の雰囲気がいつもふっと和らぎ、ほぼその場かぎりとなる人との出会いを、少しあたたかなものにする。
量や長さや力で、身体の価値を測ろうとするならば、ひとは他人と引き離され続ける。 しかし、誰もが柔らかく傷つきやすい身体を、地面に立たせ、毎日を生きている。 写真の中で一本の杖が、重力も、ひとを支えるための道具という機能も、忘れたかのように立っている。 それは誰のものでもなく、誰のものでもある。その前に立つ柔らかな身体の数だけ、その柄(え)は何度も差し出される。



お持ちの杖の写真を撮らせてくださる方を募集しています。お心当たりの方は、タイトルを「Cane Projectの件」として、ぜひお気軽にメールでお問い合わせください

Cane Project that Yamato has been working on since 2013. In 2010, Yamato created a work in which a brush, a tool for exploring painting, was used as a walking stick to explore the world. Then, in 2013, after an encounter with a woman using a cane on a mountain path, she began photographing canes used in reality. Since then, he has been photographing walking sticks used in various places and the scenery around them, and the number of sticks he has photographed now exceeds 400. He carefully walks around the places he visits and asks or is introduced to people who have canes, and often takes pictures of canes owned by individuals, but sometimes he takes pictures of canes owned by local museums or archives.
Through encounters with the owners of these canes and walking sticks, and through research into the history of walking sticks since ancient times, I also develop them into installations, performance pieces, and workshops.
I am looking for people who are willing to let me take photos of their canes. If you know of anyone who might be interested, please feel free to send me an email with the title “Cane Project”.

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